古来より鬼を退治するための行事とされる節分ですが・・・ (エクレア:エ)「・・・そこかぁっ!!」 びぁしゅっっ!! 音速に近いスピードで壁にたたきつけられる豆。 もちろん粉々になりますし、壁紙もぼろぼろです。 しかし大切なぬいぐるみ達は強固なシートで保護してあるので無傷ですが。 (エ)「逃がすかっ!!」 ずだしゃ! あちこちに豆をたたきつけるエクレアですが、部屋の中には何も居ません。 よくよくみれば何やら怪しげなバイザーをかぶっております。 (エ)「うしゃあ! ハイスコア!」 訳わからんことを抜かしておりますが。 どうやらヴァーチャル豆撒きでスコアアタックでもやってるようです。 バイザーを外して室内を見れば、当然戦場のようになってるわけでして。 (エ)「・・・どーも手加減ができねぇよな・・・」 苦笑いしながらゴミを片付けてます。 ダイニング。 (プリン:プ)「・・・何これ?」 (カステラ:カ)「太巻きですわね」 テーブルの上には太巻きが一つずつ並んでいます。 (団長)「ある地方の習慣でな、よくわからんがただ黙って太巻きを食うそうだ」 (カ)「・・・丸ごと、ですか?」 (プ)「何も真似しなくても・・・」 (団長)「だろ、俺もそう思うんだが・・・」 (亮)「節分には太巻き」 (団長)「・・・ってこいつが」 (プ)「びっくりしたぁ」 (カ)「せめて切りません? このままじゃ食べにくいと思いますわ」 (亮)「まぁ、その辺は細かく言わないが・・・エクレアはどうした?」 (プ)「おふろじゃない?」 (亮)「・・・そうか、大丈夫かな?」 (団長)「何が?」 (亮)「・・・いやあ」 バスルーム。 (エ)「〜♪」 ぱひゅ、ぱひゅ。(水鉄砲) 両手足を伸ばしても十分な広い浴槽の中で実に楽しそうに遊んでいます。 (エ)「あー、極楽極楽」 と、お湯の中に何か見えました。 (エ)「んあ? げうっ!」 それが何か確認する暇もなく、いきなりお湯の中に引き込まれてしまいました。 (エ)「がぼっ・・・がば・・・」 何か人型をした黒いものがのしかかってきました。 渾身の力でそれを投げ飛ばし、浴槽から飛び出しました。 (エ)「な・・・何だテメェは!!」 そいつは、全身真っ黒で大人の男くらいの大きさです。 しかし口は倍以上に大きく、中は血のように真っ赤で二本の牙が見え隠れしていました。 眼窩には虚ろな光が漂うだけで、目らしきものは見あたりません。 そして額に突き出た一本の角。 例えるならまさに鬼と言ったところでしょうか。 ぞわわわっ エクレアの背筋に冷たいものが走り、気が付くと既に逃げ出していました。 ばん! (エ)「お・・・お風呂場に変な奴がいますぅ」 息を切らしてダイニングへ駆け込むエクレア。 (団長)「・・・それはいいがお前なぁ、せめてタオルくらい巻いて来いよ」 (亮)「そら無理だろ、んな余裕は無いはずだし」 (エ)「え〜ん・・・ご主人様ぁ〜」 (プ)「ショックで元に戻ってる・・・」 (団長)「またお前の仕業か?」 (亮)「んー、そう言えばそうなるかもね」 (カ)「どーゆーことですの?」 (亮)「いや、始末するように頼まれてた鬼を逃がしちゃってね、東出に力を借りようかと思って来たんだけど」 (団長)「鬼? オーガか?」 (亮)「いやいや、んな可愛いもんじゃない」 (エ)「あの黒いの、エクレアの身体を狙ってましたぁ、絶対そうですぅ・・・」 (プ)「身体を狙うって・・・レイプの鬼?」 (カ)「嫌らしい鬼も居るものですわね」 (団長)「そっちの鬼か・・・」 (亮)「うん、煩悩の固まりの方ね・・・性欲鬼だけ見つからんでもしやと思ったんですが・・・ビンゴだったな」 (団長)「随分タイムリーな奴だ・・・」 (カ)「倒す方法はありませんの?」 (団長)「んー、魔を雲散霧消させるか欲求を満たすか・・・」 (亮)「そこでプリン」 (プ)「イヤ」 (亮)「・・・まだ何も言ってないが・・・ん?」 振り返ると、そこに鬼が居ました。 (プ)「アタシにだって選ぶ権利くらいあるわよぉ・・・あんなの絶対イヤ!」 (亮)「誤解するなて、いくら俺でもそこまで言わん・・・あの布、余ってるか?」 (プ)「へ? あるけど・・・?」 (亮)「よっしゃ、持ってきてくれ」 じりじりと近づいてくる鬼にエクレアはもちろん、カステラも腰砕けで後ずさっております。 (団長)「たたっ斬っていいか?」 (亮)「見た目より強いから気をつけてねん」 (団長)「はっ、誰に物言ってやがる」 しかし、凄まじいスピードと正確な東出の剣劇を巧みにかわす鬼。 やはりどんなことよりも煩悩は強いわけでして。 (団長)「ちぃっ! すばしっこい!」 (亮)「だぁから言ったのに」 (プ)「はい、持ってきたよ・・・どうするの?」 (亮)「おう、こいつをだな・・・」 簡易空間転移。 (亮)「こうする」 『お水の羽衣』を鬼に巻き付ける亮。 しばらく混乱していた鬼ですが、突然全身が痙攣を起こして硬直してしまいました。 (団長)「・・・そーゆーことか」 (亮)「んむ、ささ、トドメを」 (団長)「あぁ・・・悪鬼滅殺!」 どか。(剣) (カ)「はぁ・・・とんだ節分でしたわ・・・」 (プ)「エクレアちゃん、大丈夫?」 こくり(頷く) (団長)「・・・タダの年中行事じゃねぇ事を思い知らされたな・・・」 (亮)「これからはちゃんと鬼避け飾らないとな・・・豆も撒いとけよ〜」 やはり無事に済むわけもなく。 続く。
(亮)「報酬安かったなぁ・・・」
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