番外A ロール・キャスケットはその日も憂鬱だった。 新しい島にロックを降ろし、祖父と一緒に来たこの島ではずっと一人で留守番をしていたのだ。 フラッター号の整備など数時間もあれば全て完了してしまうし、町への買い出しは最初の一日で事足りていた。そのため有り余る時間をもてあましていたのだった。 暇つぶしに造ったメカなど既に改造し尽くしてしまったし、テレビを見るにもこの時間帯、興味のないワイドショーの類しか放送していない。 ベッドに寝ころびながら緩慢に流れる時間をただ眺める毎日だった。 「・・・ロック・・・」 枕に顔を埋めながら愛しい人の名を呼んでみれば一時は甘い気分になれたが、それももはや効果のない程に彼とは会っていない。 目を閉じてあの日の記憶を辿ろうとすればするほど、切なさがこみ上げてくる。 気がつくといつものように下半身へと右腕が伸びていた。 ダメ・・・こんな事しても・・・ そしていつものように左腕で押さえるのだった。 「おかしくなっちゃうよ・・・」 会えない人を想う姿は14の少女には見えなかった。 「!」 いつの間にか再び右手が動いていた。既に指先は下着の中にまで入っている。懸命に止めようとしたが、しっとりと濡れた感覚が指に生まれるともはや静止は効かなかった。 「あ・・・」 人としての理性は必死に淫行を留めようとしていたが動物の本能には勝てなかった。むしろ逆らおうとするほどに指は攻めを一層強めた。 「あっ・・うあ・・・・」 指に意識でもあるかのように、感じている自分の声に反応して更に激しく攻め立てる。愛液を絡ませ、柔肉を撫で回す。ズボンのなかにくちゅくちゅっと音がこもる。 「ああ・・・・う・・う・・」 今やそれまで右腕を押しとどめようとしていた左手までもが服の上から柔らかな胸のふくらみを掴んでいた。 涙目になりつつも両の腕はその動きを休ませることはなかった。既に右手に溜めることの出来なくなった愛液が腿を伝い流れ落ちてくる。遂に彼女は逆らうことを放棄した。 「ひあっ・・・ぁぁぁぁ・・・」 一つ大きく喉を鳴らすと、達し、力無くくずおれた。 「寂しいよ・・・一人じゃ・・・」 写真立てに映る少年に涙ながらに訴える。 行為は慰めにはならなかった。快感はあっても達成感までは得られなかった。 かえって、募る思いを増す結果に終わってしまった。 数分後、彼女はのろのろと汚してしまったシーツを剥ぎ、下着を取り替えた。 明日、ロックのいる島に戻る予定になっている。 番外A END
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