第23話 酒乱

団長、東出勝明は今時珍しい筋金入りの堅物です。
カステラの度重なるモーションもなんのその。
ですが・・・


今日もまた書類とにらめっこしている団長。

(団長)「・・・・・・」

一日中根を詰めていたので流石に疲れたのか、ソファにひっくり返りました。
テーブルの上にあった包みを横目で眺めています。

(カステラ:カ)「これ、よろしかったらどうぞ」

バレンタインにカステラが置いていったチョコレートです。
むくりと起きあがり、包みを開くと、高価そうなチョコと一緒に手紙が入っていました。

(団長)「・・・あいつ・・・」

手紙を読みながらチョコレートを口へ放り込みました。



正義団、亮の部屋。

(亮)「ん〜・・・つまり、東出の本心が知りたい、と」
(カ)「はい・・・何を言っても手応えがなくて・・・私・・・」
(亮)「そうさな・・・俺が言うのも何だが、奴ぁ不器用な男だからねぇ・・・」
(カ)「せめて、一言だけでも言ってもらえれば・・・」

言って、俯いてしまいました。

(亮)「・・・最終的にはどうしたいん?」
(カ)「え? そ、それは・・・やっぱり、その・・・」
(亮)「・・・行き着くところはそれかい」
(カ)「・・・無理でしょうか?」
(亮)「まぁ、アレだからねぇ・・・・・・・・・・・・いや、もしかしたらいけるかもしれん」

アルファベットチョコ(ERSからの義理:半額セール品、一袋)に伸ばした手が止まります。

(カ)「え?」
(亮)「東出にやったバレンタインチョコ、どんなん?」
(カ)「え・・・あの、中にお酒が入ってるやつですけど」
(亮)「よっしゃ! 一つでも喰わせればお前のもんだ」
(カ)「は、はぁ・・・?」



再び団長室。

(団長)「・・・・・・・・・」

また黙々とキーボードを叩いております。
心なしか顔が紅いような・・・?

かちゃ・・・

(カ)「団長・・・?」

ノックしても返事がないので、恐る恐るカステラが入ってきました。

(団長)「・・・どうした?」
(カ)「いえ、別に・・・失礼しますわ」
(団長)「待て」

出ていこうとしたカステラを呼び止めます。

(カ)「はい?」
(団長)「何か用があったんじゃないのか?」

立ち上がり、カステラが開けたドアを閉める団長。

(団長)「俺はお前に用がある」
(カ)「え? ・・・あ」

かち。
鍵をかけ、カステラの細い体を抱き寄せました。

(カ)「・・・勝明様・・・」
(団長)「嫌か?」

団長の問いかけに黙って首を振るカステラ。
そのまま団長に身を任せます。

永遠とも思える静寂の中、パソコンの冷却ファンの音だけが響いてます。
見つめ合う瞳と瞳、重なる唇・・・ベッドに横たわり、そして・・・・・・





朝。

(団長)「・・・ん・・・・・・っ」

目が覚め、、裸でベッドに寝ている自分に気づいた団長。
体を覆っているのが布団ではなくカステラの身体だということが解るまでに数分。

(団長)「・・・なんじゃこりゃあ」

いつもならすぐにでもはね除けるところでしたが、下半身がそれどころじゃありません。
繋がったままなのです。

(団長)「・・・・・・チョコを食って・・・記憶が無い・・・」

こめかみを押さえて記憶をまさぐりますが、全然思い出せません。
そうこうしてる内に、カステラが目を覚ましました。

(カ)「・・・ぅ・・・ん・・・おはようございます」

柔らかく微笑むカステラに仰向けになったまま問いかけます。

(団長)「・・・何があった?」
(カ)「憶えていませんの?」
(団長)「あぁ」
(カ)「こんな状態でも?」
(団長)「全然」
(カ)「あんなに優しくしてくれたのに?」
(団長)「記憶にございませんな」
(カ)「・・・そぅ、ですか」

寂しそうなカステラとばつの悪い顔の団長。

(団長)「とりあえず、抜いてくれんか?」
(カ)「そうですわね・・・」

やっとの思いで解放されたモノは、少しばかり腫れているようにも見えます。



(団長)「・・・悪かったな」
(カ)「え?」
(団長)「酔ってたんだ、チョコに入ってた酒で」
(カ)「そうだったんですか・・・それでご主人様は・・・」

ここでようやく亮の言葉が理解できました。

(団長)「・・・次があれば憶えてるようにするから」
(カ)「え? それって・・・団長?」

聞こえるかどうかの小声で言い残し、そそくさと部屋を出てしまいました。




続く。






(カ)「・・・期待して良いんですね?」




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