ある日の俺的 56


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言わずと知れた桃の節句でございますが・・・


リビング。
ケースに入った可愛らしい雛人形が飾ってあります。

(優)「・・・なによ、これ」

買い物から帰ってきて一言目がこれです。

(秀)「雛人形だろぅ、見てわからんか?」
(優)「そぉゆぅことじゃなくて・・・どしたの?」
(栄)「さぁ? いつの間にかここに」
(優)「これ、飾ってあるのよね? どこか持っていくとかじゃないわよね?」
(秀)「俺が知るかい」
(優)「今更何だって・・・」

と・・・

がちゃ。
(団長)「うらー、帰ったぞー」

(サブレ)「ただいまー」
(タルト)「あー、さわっちゃだめー」

家に飛び込むなり、リビングへ駆け込んで来るタルト。
しげしげと眺めていた優をどかしてしまいました。

(タルト)「これはたるとのおひなさまなのぉ」
(優)「へぇ・・・どしたの?」
(タルト)「おじいちゃんがね、おくってきてくれたの」
(秀)「よかったじゃねぇか」
(団長)「したらサブレが自分も欲しいなどと仰いまして」

どさ。

(サブレ)「かってきたのぉ」
(優)「随分とお優しいこと・・・」
(団長)「何だその言いぐさ」
(優)「別に」

荷物を抱えてキッチンへ行ってしまいました。

(団長)「・・・うーん、ナイス反応」
(サブレ)「だんちょー、はやくだしてよぉ」
(団長)「ん? あぁ、そうだな」

飾り付け中・・・

(サブレ)「ちょっとちがうね」
(タルト)「うん・・・でもかずはおんなじだよ」

(秀)「で? 価格的な差は?」
(団長)「・・・物的価値が理解できるようになった時が怖い程度」
(秀)「・・・相当だな」
(団長)「っても6桁届きそうだったぞ」
(栄)「そっちの包みは何です?」

団長の脇に置いてあったサブレの雛人形が入っていた箱の半分くらいの包みを指しまして。

(団長)「これか、これはな、雛人形だ」
(栄)「はぁ」
(秀)「んないくつも買ってどうするよ?」
(団長)「んー? なに、ちょいと拗ねてる奴にな・・・こう言っちゃ変だが兼用で」
(秀)「ちったー考えてんだな」
(団長)「必要ないと思ったんだけどねぇ・・・嫁に行くわけでもないし、病気にもならないし」
(栄)「でもあるのと無いのとじゃ違いますからねぇ」
(団長)「本物があるとやっぱりねぇ・・・」



優が立派な雛人形の間にさりげなく飾ってあった小さな人形に気がついたのは翌日、片付ける時になってからでした。




続く。






(団長)「・・・まだまだだね」




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