ある日の俺的 54


魔法少女第二回。
青嵐高校からお送りいたします。


講師をしている魔導学科の授業が終わり、職員室へ戻ってきた麗。
なんかやけに賑やかです。

(麗)「・・・なんだろ?」

室内では教師達が慌ただしく走り回っています。
その中の一人が麗の姿を見つけ、急いでやってきました。

(海原)「あ〜ん・・・麗ちゃ〜ん、探したのよぉ〜」

小柄で丸眼鏡をかけた女性教師です。

(麗)「・・・なんかあったんですか?」

外見と中身が逆であるかのような2人。

(海原)「えっとぉ〜・・・明日のぉ、卒業試験は知ってるよねぇ〜?」

本人としたら相当焦っているのでしょうが、どうしてもそうは見えないしゃべり方です。

(麗)「詳しいことは知りませんけど・・・実技の基本と応用でしたっけ?」
(海原)「そうなのぉ、それでねぇ〜・・・用意してた動物がねぇ〜・・・」
(麗)「逃げちゃったの?」
(海原)「当たりぃ〜・・・檻を確認しに行ったときにぃ、逃げられちゃったぁ」
(麗)「逃げられちゃったぁ・・・って・・・」
(海原)「え〜ん・・・だってぇ〜・・・」

全く緊張感のない声に頭を掻く麗。

(麗)「それで、何が逃げ出したんですか?」
(海原)「・・・怒らない?」
(麗)「怒らないですよ」
(海原)「えっとぉ〜・・・コカトリス30匹とバジリスク5匹?」
(麗)「・・・はぁ?」
(海原)「ほら怒ったぁ〜」
(麗)「怒ってないって・・・何でまたそんな物騒な・・・」
(海原)「課題内容がぁ、石化魔獣への対応と石化したときの処置だったのぉ〜」
(麗)「それにしても・・・う〜ん・・・」
(海原)「それでぇ、麗ちゃんにどうにかしてもらおうと思ったんだけどぉ〜・・・どぅ?」
(麗)「どぅ・・・て言われても・・・」
(海原)「ダメなのぉ? どぉしてぇ?」
(麗)「いや・・・それくらいのレベルだと消し去ることは出来るんだけど、生け捕るにはチョット・・・」
(海原)「そんなぁ〜・・・麗ちゃんだけが頼りだったのにぃ〜・・・」
(麗)「って言われても・・・」
(海原)「はぁ〜・・・短い間だったけど楽しかったわぁ〜、私のこと忘れないでねぇ〜」
(麗)「あぁ! ちょっと先生!! 早まっちゃダメぇ」
(海原)「だって、だってぇ〜」
(麗)「と、とにかく、全校に避難連絡しないと」

と、言った直後。
ががっ・・・
「全校に連絡します。 高等部、魔導学科の実験動物が脱走しました。
速やかに教室へ避難し、それらしい動物を見かけても手を出さないようにしましょう」


(麗)「他の先生も居るんだった・・・」
(海原)「あ、そうそう、緊急の職員会議があるから後おねが〜ぃ」
(麗)「・・・しょうがないなぁ、もぅ・・・」

かばんから通信端末を取り出します。
親子電話の子機だと思ってもらえれば。

(麗)「・・・・・・・・・」

とるるるるる・・・
とるるるるる・・・
とるるるるる・・・

(麗)「・・・ちょっと」

とるるるるる・・・
とるるるるる・・・
とるるるるる・・・

(麗)「・・・あんな大家族が何で誰も出ないのよぉ」

とるるるるる・・・
とるるるるる・・・
かちゃ。

(サブレ)「はぁい、さぶれだよぉ」

(麗)「えっと・・・他に誰かいる?」
(サブレ)「ちょっとまってねぇ」
(麗)「うん」

少しばかりほっとして椅子に座ります。
が、

(タルト)「なーにー? おねえちゃん」

がっくりと肩を落としてしまいました。

(麗)「・・・2人でお留守番なんだ、偉いね」
(タルト)「ゆーちゃんがおかいものいっちゃったのぉ」
(麗)「あ、そうだ」

ふと何かを思い出す麗。

(麗)「タルトちゃん、お姉ちゃんの学校解るかなぁ?」
(タルト)「がっこう? えっとぉ、おっきなおうちがいっぱいあるところ?」
(麗)「そうそう・・・来られるかなぁ?」
(タルト)「だいじょうぶだよぉ」
(麗)「あ、じゃあ優お姉ちゃ」
(タルト)「まっててねぇ」

がちゃぷつーつーつー。

(麗)「ん帰ってきたら・・・ってぇ!」

タルトが電話を切るのと同時に、端末の電池が切れてしまいました。

(麗)「・・・大丈夫かなぁ?」



・・・どうなることやら。



続く。






(団長)「出番無いなぁ・・・」




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