ある日の俺的 53


魔法少女。


青嵐学園高等部。
その学科は多岐にわたり、各種専門学校に勝るとも劣らぬ授業内容で有名。
その講師陣がまた風変わりで、一芸に長けた生徒が講師になっているなんて事も。



・・・魔導学科2年教室から聞き覚えのある声が聞こえてきます。

(麗)「・・・とゆーわけで、5年前から魔界では暗黒神が不在と言う事態が続いているのです」

制服の上着だけ取り替えた麗が教壇に立っていました。
分厚い教科書片手に魔導史の授業真っ最中です。

(麗)「ま、教科書に載ってないことだから聞き流しちゃっていいけどね」

小学2年生が講師なのにも拘わらず、生徒達の顔は真剣そのもの。
と、どこかで見たことのある一人が手を挙げました。

(佐々木)「しつもーん」
(麗)「はい、どーぞ」
(佐々木)「先代の一人娘が居たじゃないですか、その人って何やってるんですかぁ?」
(麗)「えと・・・暗黒神が居ない間の神魔会における魔界側代表・・・だったかな? 政治は専門外だからねぇ・・・」
(佐々木)「はーい、ありがとー」

まるで友達みたいな会話の授業です。

(麗)「ここの話は範囲外だけど、他に質問あるかなぁ?」

時節柄、学年末の試験が近いのでしょうか、最後の追い込みと言った感じです。

(麗)「それじゃ、今日はここまで・・・最初にも言ったけど、明日は三年生の卒業試験だからお休みね」

きんこんかーん♪

終業のチャイムと同時にわらわら出てゆく生徒達。
片付けをしている麗の所へ佐々木がやってきました。

(佐々木)「麗チャンせんせー、さっきの魔導大戦のことだけどさー」
(麗)「んー? ・・・随分とやる気満々だねぇ」
(佐々木)「そらそうよ、これでも一応魔法剣士目指してるんだからぁ」
(土方)「そう、無謀と言うか世間知らずというか」
(佐々木)「トシぃ・・・あんただってヒトのこと言えないでしょ」
(土方)「残念だが俺は出来が良いんでな」
(佐々木)「あんたなんかがパラディンになろうだなんてそれこそ無謀ってもんよ」
(麗)「へぇ〜・・・土方君パラディン志願なんだぁ」
(土方)「えぇまぁ・・・夢は大きい方がいいと思いまして」
(麗)「いや、結構良い線だと思うよ」
(土方)「どうも」
(佐々木)「えぇ〜! この性格破綻者がぁ?!」
(麗)「ははは・・・仲良いなぁ、2人とも」
(佐々木)「ちょ・・・冗談!!」
(土方)「コイツが絡んでくるだけですって」

真っ赤になって否定する2人。

(麗)「はぁ・・・こーゆー17歳をウチのお姉ちゃんにも見習って欲しいね」
(佐々木)「あれ? 麗チャンのお姉さんて華ちゃんだけじゃなかったの?」
(土方)「華って・・・決勝で沖田に勝った娘か?」
(麗)「そうだけど・・・でもなんで剣道に出たんだろ?」
(佐々木)(ぎくぅ)
(土方)「確かに、俺の見た限り空手とか柔道の方が強そうだったな」
(佐々木)(ぎくぎくぅっ)
(土方)「そう言や、あん時宮本と2人で何かやってたよな、お前」
(佐々木)「え? そ、そうだっけ・・・?」
(麗)「?」
(土方)「・・・・・・・・・・・・」
(佐々木)「憶えてないなぁ〜・・・?」

睨む土方ととぼける佐々木。
と、そこへ・・・

(近藤)「トシー、飯おごれー」
(宮本)「やっほーい、おふたりさーん」
(佐々木)「げ」
(土方)「ちょうど良いところへ。 お前ら沖田の決勝の相手にいくら賭けてたんだ?」
(宮本)「へ? 3000円だけど?」
(佐々木)「ばかっ」
(麗)「? どゆこと?」
(土方)「せんせーのお姉さんでギャンブルしてたんですよ、こいつら」
(宮本)「先生? この子が?」
(佐々木)「あ〜ん、ゆるしてぇ〜」
(麗)「別に・・・賭けるだけの価値があるって思ってくれたんだもん、あたしは構わないけど」
(佐々木)「さすが麗チャン、心が広いわぁ」
(土方)「まぁ、それも一理あるが・・・」

渋々納得する土方にまたも聞く宮本。

(宮本)「ねぇ、この子ホントに先生なの?」
(近藤)「なんだ、麗ちゃん先生と言えば保健のデミグラス、司書の火野と並ぶ人気者だぞ、知らんのか」
(宮本)「初めて聞いたわ・・・巨乳、インテリ、ロリが人気なんだ」
(麗)「極論だなぁ・・・あたしも初めて聞いたけどね。 美女2人と同格なんだ、やったぁ」
(佐々木)「麗チャン可愛いもんね・・・家の妹も小学二年だけどこれが小憎らしいのなんの・・・」

手ぇわきわき、奥歯噛み締めたままぼやいてます。
怖。

(麗)「ははは・・・そ、それじゃー、また来週ねー」
(佐々木)「あ、はーい、またねー」


とっとこ職員室へ向かう麗。
そこで何が起こっているかはまだ知るよしもなく・・・



続く。






(団長)「・・・前フリだけで終わっちゃった」




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