ある日の俺的 40

続き。

〜前回までのお話し〜
団長の作った薬で突然17歳の身体になってしまったタルト。
バレるとマズイので外へ遊びに行くことにしました。



神魔界間協定会議、通称、神魔会。
そこの本部へ団長が定期報告しにやって来ました。

(タルト)「うわぁ〜・・・おっき〜!」
白亜の建物を見上げ、思わずため息をもらすタルト。
身体としゃべりが一致してないので端から見ればかなり妙です。

(団長)「あまりきょろきょろするんじゃないぞ」
いくら姿は大人でもやっぱり子供扱いな訳で。
タルトの手をしっかりつかんでます。
(タ)「すごいねぇ・・・ねぇ、だんちょーってえらいの?」
(団長)「どして?」
(タ)「みんなたるとたちのことみてるよ?」

・・・確かに、一見すると『グラサン野郎』と『猫耳娘』のカップルにも思われますが、
見る人が見れば『特級査察員』に連れられた『準キメラ娘』な訳でして。
しかもバカでかいバストときたもんで、余計に目を引くのであります。

(団長)「・・・そう、エライの」
(タ)「へぇー、かっこいー」

エントランスホールから目的の窓口まではかなり歩かなければならないので余計人目に付きます。
なので、逆に堂々と歩き出す団長。

エレベーターを乗り継ぎ、階段を抜け、扉をいくつも潜ったところで不意に誰かが呼び止めました。

(三太)「主! 来てたのか?」
夏の事件以降、少し昇進した三太です。

(団長)「うーわ、遭っちゃった」
(三)「不満か?」
(団長)「いや・・・」
(三)「・・・誰だ?」
団長の背後にいたタルトに気付く三太。
(タ)「たるとだよぉ、さんたぁ」
(三)「は?」
まじまじとタルトを見つめる三太。
(三)「・・・本当にタルトか?」
(タ)「そーだよ、だんちょーのくすりでねぇ、おっきくなったのー」

(団長)「じゃ、そうゆうわけで」
(三)「待て・・・気付かんのか? 主」
逃げる団長の襟首ひっつかむ三太
(団長)「ぐぇ・・・な、何に?」
真剣にタルトを見る三太に団長が聞き返す。
(三)「タルトの耳・・・隠すと」
(タ)「おみみ?」
きょとんとした顔で耳をぴくぴく動かすタルト。
(団長)「隠すと〜?・・・」
手で耳を隠すようにしてタルトを見る二人。
通路の真ん中で邪魔だってば。

(団長)「・・・・・・・・・あ!」
(三)「少し幼い顔だが・・・似ているだろ、あの人間に」
(団長)「・・・レディ・ババロア・・・!」
(タ)「れでぃ・ばばろあ?」
(三)「それだ、大魔女レディ・ババロアにそっくりじゃないか?」
(団長)「誰かに似てると思ったら・・・んな有名人だったか」
(タ)「?」
やけに感心した顔に見つめられて不思議そうに首を傾げるタルト。
ここでちょっと説明を・・・

レディ・ババロア:
世紀の大魔女として歴史に名を残す人物。
人間としては類い希な魔力を持ちながら表舞台に出ることは少なかった。
神魔会発足当時に人類代表として多大な活躍を見せ、数十年前に老衰のため死去。
現在、彼女の功績を讃えた記念館が神魔会本部に併設されている。

と、いった有名すぎる人物です。

(団長)「まてよ・・・あの家系って確か・・・」
(三)「あぁ、彼女以外で魔導師になった者は居ないな」
(団長)「・・・記念館、公園の向こうだよな」
言い、書類を三太へ押しつける団長。
(三)「あ? おい・・・」
(団長)「後任せた! ミザリィ様によろしく!」
(タ)「あー、まってー」
回れ右をして走り出す。
慌てて追いかけるタルト。

(三)「・・・ったく・・・」
哀れ三太。
厄介な仕事を押しつけられてしまいました。

続く。






(タ)「はしりにくいよぉ・・・」



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